ポリアミド系ノンメタルクラスプデンチャー

熱可塑性樹脂は、熱硬化性樹脂(レジン床義歯)と比べて靭性に優れており、

高温で短時間成形できるので、生産性にも優れています。

 

国内で販売されている熱可塑性樹脂

 

アクリル系 acrylic resin

ポリアミド系 polyamide

ポリカーボネート系 polycarbonate

ポリプロピレン系 polypropylene

ポリエステル系 polyester

ポリアミド系樹脂とは、鎖状の二価カルボン酸(ジカルボン酸) HOOC-R¹-COOH と、鎖状のジアミンH₂N-R²-NH₂ を縮合重合させると生成される、アミド結合 (-CO-NH-) を持つ鎖状の高分子化合物から作られる素材のことを指します。「PA (Poly Amide の頭文字)」とも表記され、一般的にはポリアミド系樹脂の総称として、米Du Pont社が開発したポリアミドの製品名である「ナイロン」と呼ばれています。ε - カプロラクタムというアミド分子を重合することで作られます。 

ポリアミド系熱可塑性樹脂は、2018年3月時点で3Dプリンターで使用できる主な造形材料の一つでもあり、「材料押出(熱溶解積層)」「結合剤噴射」「粉末床溶解結合」の3つの造形方法での製造が可能となっています。

 

また、熱硬化性樹脂 (光硬化性樹脂) は「液層光重合(光造形)」「材料噴射」、石膏は「結合剤噴射」、ワックスは「材料噴射」、そして金属に関しては「結合剤噴射」「粉末床溶解結合」「シート積層」「指向性エネルギー堆積」の造形方法があります。

 

もし、床と人工歯一体型の義歯が3Dプリンターで製造可能になれば、3Dプリンターで製作された精度の高いノンメタルクラスプデンチャーが、手頃な価格で患者さんの口に入る時代も、そう遠くはないのかもしれません。


<材料押出 material extrusion >

立体モデルを固定するプレートに対し、相対的に動かすことができるノズルから造形材料を吐出させることにより、立体モデルを造形していく方法です。造形物を固定するテーブルとノズルの相対位置を変化させることで、断面形状を作製・積層していきます。複数ノズル搭載装置も発売されており、1つの立体モデルの中で数種類の樹脂を混在させる場合に使用されます。ノズルから吐出された樹脂は、既に造形された下層の樹脂と接触したり、周囲の空気により冷やされることで硬化します。

 

現在発売されている個人向け低価格3Dプリンターの多くで採用されている方法になります。

<結合剤噴射 binder jetting >

石膏や樹脂、砂、セラミックスなどの粉末に対して、接着剤を選択的にインクジェットノズルから吐出し硬化させます。着色接着剤を使うことで、色を染めることが可能となっています。

<粉末床溶融結合 powder bed fusion >

レーザービームや電子ビームの照射により、平らに敷き詰められた粉末の断面形状を溶解・結合させる方法です。造形材料そのものではなく、樹脂でコーティングした粉末や添加した樹脂を溶解させる装置も発売されており、積層方向に異なる材料を造形していくこともできるようになってきています。